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タンザニア便り '00年11月

NO.17 アロマティックライフの勧め (2000.11.1)
No.18 アフリカフェ・アロマの秘密(2000.11.11)
No.19 続アロマティックライフの勧め(2000.11.21)


NO.17 アロマティックライフの勧め (2000.11.1)
ジャンボ! お元気ですか?
10月29日に行われたタンザニア、ザンジバルの総選挙は、諸々の事情によって、ザンジバルの選挙のみやり直しとなりました。タンザニア大領領、ザンジバル大統領を含めた選挙の結果発表は、ザンジバルの再選挙後となり、再選挙は11月5日とも、3カ月後とも言われており、まだはっきりした日時は未定です。正当な選挙が行われ、正当に開票結果が発表され、選挙が無事に終わることを祈る今日この頃です。
さて、きょうは、コーヒーにかかせない芳香、アロマについてお話しましょう。 アロマとは、ご存知のとおりギリシア語を語源に持ち、「芳香、香気、気品、風趣」を意味し、日本語でいう「匂い」とはちょっと別格の「気品あるよい香り」といったニュアンスの言葉です。英語では、香水やハーブ等の香り以外に、芸術作品から香り立つ気品を表現する時にも、このアロマが使われます。
それらと並んで、コーヒーの香りは、アロマと表されていることからも、コーヒーの香りは気品高く、芳しいもの であるということがおわかりになるでしょう。 また、アロマセラピー(芳香療法・いい香りのものを利用した療法)と呼ばれる治療法があるほど、香りは、私達人間の心や体に働きかけているものなのです。
空気中に漂う香りの成分は、鼻の臭細胞でキャッチされ、1つの情報として臭神経を通り、大脳にまで届けられ、初めて意識として香りを感じます。そこで、その香りの好き嫌いなどの感覚の違いによって、快、不快などの感情が生まれます。大脳に到達した情報は、自律神経の中枢である視床下部にも作用し、自律神経を調節するので、自分の好きな香りに囲まれていると、リラックスできるというわけです。
星の数ほどある香りの中でも、「コーヒーは苦手だけど、コーヒーの香りは好き」という人も多いほど、たくさんの人々から愛されるコーヒー・アロマ。コーヒーを飲まなくても、コーヒーの香りの中にいるだけで心が落ち着くという人が多いのは、こういったコーヒー・アロマが持つ、リラクゼーション効果の結果といえるのです。
友人のハリーマも、「コーヒーは苦いから飲むのは苦手だけど、香りは好き」で、自分では飲みもしないのに、時々、鍋に一杯コーヒーを沸かして、そのまま部屋の中に置きっぱなしにしています。 「こうしておけば、家中がいい香りになるでしょ」 と聞いて、なるほどと納得しました。
タンザニアの女性達は、いい香りの物が大好きです。香木、香草、砂糖、香辛料を複雑に混ぜ合わせ、自分でオリジナルの御香を作り、それを焚いて、洋服や寝室をすべて自分だけの香りに統一したり、ジャスミンのつぼみや咲きかけのバラの花を、毎朝たくさん摘み取って、ベッドにまいておき、夜、愛する夫と共に眠る時には、ベッドは開花したジャスミンやバラの香りに包まれているというように、日常の中で、アロマを使って、そんな素敵な演出もしています。
ザンジバルには、枯れ木に花を咲かせる「花咲じいさん」はいませんが、ジャスミンのつぼみや、咲きかけのバラの花を小さな紙切れに包んで売り歩く、「花売りじいさん」がいて、今も、たくさんの女性から喜ばれています。
タンザニアでは、日本のように、切り花を飾るという習慣はないので、初めて新聞紙の切れっ端に包まれた「バラの花」をもらった時は、「なぜどうして茎や葉がついていないのか」とても不思議で、「花だけ水に浮かべて飾るのかな?」と思ったのですが、ベッドにまいておけば、夜開いてとてもいい香りがするという説明を聞いて、一夜だけの香りのために花を摘むなんて、とっても素敵だなあと感心しました。 切り花なら、花瓶に生けておけば、花の香りも美しさも、何日かは持ちますが、頭だけ摘まれ、水にも入れずにばらまかれた花はそうはいきません。朝つぼみだったジャスミンもバラも、一夜だけ、思い切り花を咲かせ、素敵な香りを振りまいて、2人の幸せなひと時を演出する役を果たすと、次の朝には枯れています。
ザンジバルの女性は、朝になれば、きのうの花は思い切りよく全部捨て、夫のために、心を込めて新しい花を摘むのです。毎日会う夫のために、毎日新しい花を摘む、なかなかできないことだと思いませんか? 私は、ザンジバルで、ジャスミンの花を摘む女性を見かけるたびに、「毎日会う人だからこそ、大事にしなくちゃいけないでしょ」と教えら という具合に、タンザニアの人々は、アロマの効果なんていう七面倒くさい言葉など関係なく、昔から人間の身近にある自然のアロマを上手に生活の中に取り入れ、いつも自分達がリラックスして、気持ちよく生きられるような工夫をしています。 あなたも、身近な自然のアロマで、日常生活を気持ちよく演出してみてはいかがですか。
ザンジバルのMUNAWARより


No.18「アフリカフェ・アロマの秘密」(2000.11.11)
ジャンボ! お元気ですか?
タンザニア、ザンジバルの総選挙はその後、11月5日にザンジバルのみ再選挙が行われ、8日にザンジバル大統領アマニ・カルメの就任式が、9日にダル・エス・サラームでタンザニア連合共和国大統領 ベンジャミン・ムカパの就任式が行われ、紆余曲折はあったものの、1つの結果が出されました。2人の大統領が、共和国という名のとおり、力を合わせて国づくりを進めてほしいと、心から願う毎日です。
さて、前回は、コーヒーのアロマ(芳香、香り)についてお話しましたが、今日は、アフリカフェ・アロマについてお話しましょう。
アフリカフェはスプレードライで作られたインスタントコーヒーです。皆さんご存知のように、インスタントコーヒーには、スプレードライ方式とフリーズドライ方式という2つの製造方法があり、一般的には低温処理のフリーズドライの方が、アロマがよく保存されると言われています。しかし、アフリカフェは、スプレードライのインスタントコーヒーにも関わらず、豊かなコーヒー・アロマが残されていることは、アフリカフェを飲まれた人なら誰でもわかっておられることでしょう。
アフリカフェは、2000年3月に千葉の幕張会場で開かれた第23回世界食品展(FOODEX JAPAN)に参加し、世界各国から集められたコーヒーが60種類以上もあったにもかかわらず、大好評を博しました。試飲の際は、インスタントコーヒーであることを言わず、まず、飲んでいただき、その後で「タンザニア生まれのインスタントコーヒーです」と言うと、皆さん一様に驚いて、「これ、本当にインスタント?」と聞き返す人がほとんどでした。また、一般の人だけでなく、コーヒー専門家の方々からも、「これは、インスタントコーヒーとは思えないような本格的なコーヒーの味と香りが出ている」という驚きを含めた賛辞をいただきました。
なぜ、アフリカフェは、インスタントコーヒーであるにもかかわらず、素晴らしいコーヒー・アロマがそのまま残されているのか、それは、長年の私の疑問でもありましたが、TANICA社の工場見学で、勤続年数33年、「TANICA社の生き字引」と言われて、誰からも尊敬されている、スーパーアドバイザーのバギラ氏に説明を聞いて、初めてその秘密がわかりました。今日は、アフリカフェ・アロマの秘密を、アフリカフェ フレンドのあなただけにお教えしましょう。
スプレードライ方式でも、フリーズドライ方式でも、コーヒー豆の選別から、焙煎(ロースト)、ブレンド、粉砕、抽出までの過程は同じです。あなたが、コーヒー豆を使ってレギュラーコーヒーを点てるときの手順と同じ要領で、うんと濃いコーヒーを点てると考えてみてください。このコーヒー液から水分を除いたものが、インスタントコーヒーになるのです。水分を除く過程で、コーヒーの抽出液を、熱風が吹き込まれている高さ25メートルもある乾燥塔の中で、霧状に噴出し(スプレーし)瞬間的に水分を蒸発させて細かい微粉末状のコーヒーを作るのが、スプレードライ方式です。
コーヒーの生豆は、そのままでは、淡い緑色で、ただの青臭い木の実にすぎません。コーヒーの独特のアロマ(香り)が生み出されるのは、生豆が焙煎(ロースト)され、熱を受ける段階です。香りだけでなく、酸味、苦味、甘味といったコーヒー独特の味も、コーヒー豆が火で炒られる焙煎という過程から生まれるので、いくら上質の豆を選んでも、このローストの段階で失敗してしまったら、元も子もありません。
コーヒーの香りと味わいの8割は、このローストのしかたで決まると言われるほど大切な過程なのです。
TANICA社の工場には、大きな焙煎機があり、一度に240キロのコーヒー豆を焙煎しています。焙煎機の前には、熟練工がついていて、毎回コーヒー豆と真剣勝負を挑んでいました。もちろん焙煎温度、時間、豆の色など、すべてのデーターや見本は揃っていますが、その日に煎る豆の質、状態等々いろいろな条件で、微妙な差が出てくるからです。
「どんなに機械が発達しても、それを使いこなし、製品を一定基準に保つのに大切なのは、その仕事に熟練した人間なのさ。」とは、15歳で入社して、豆運びから初め、工場のすべての仕事をやり、コーヒーに関する知識を得るため、イギリスへの留学も果たし、工場長を経てスーパーアドバイザーとなったバギラ氏の言葉。
熟練工は、片時も焙煎機の前を離れず、丸窓の耐熱ガラス越しに、豆の状態を見つめており、おおよその時間になると丸窓を開け、鉄の匙を入れて所領の豆を取り出し、色や状態を自分の目で確かめます。そして、最後の最後に、20リットルの水を一気に、熱くブラウン色に煎られたコーヒー豆にかけます。もちろん高温になっている豆にかけられた水は、ジュワッという音と共に、一気に蒸発してしまいます。こうして、熱い豆に少量の水をかけることで、焙煎機の中の空気中に逃げ出していたコーヒー・アロマを、一気に立ち上る水蒸気で瞬間的につかまえ、コーヒー豆に再びぎゅっと染み込ませたところで焙煎作業は完了。その後、10分間かけてコーヒー豆を冷却し、アロマをさらに閉じ込めてから、グラインド(豆を挽く)過程に入ります。
「焙煎後のコーヒー豆を、冷却してからグラインド過程に入るというのは、コーヒー工場では機械自体がそういう構造になっているから普通のことだけど、焙煎の最後の段階で、水をかけるというのは、TANICA社独自のやりかただよ。これで、アロマをぎゅっと閉じ込めるのさ。でも、これは企業秘密なんだけどなあ」と笑うバギラ氏でした。
つまり、この、焙煎終了間際にかける20リットルの水が、アフリカフェ・アロマの秘密だったのです。
インスタントコーヒーの中には、コーヒー100%と銘打ちながら、実際には合成の香料を足しているものもあると聞きますが、アフリカフェ・アロマは、20リットルの水を使うだけで、一旦空気中に逃げ出したアロマを、再度つかまえて封じ込めるという、コーヒーを心から愛し、いかにうまいインスタントコーヒーを作り出すかを一生の仕事にしている、研究熱心なブコバの人々が編み出した究極の裏技でした。
ところで、この究極の裏技、企業秘密なので、誰にも言わないで下さいね。
ザンジバルのMUNAWARより

NO.19 続アロマティックライフの勧め(2000.11.21)
ジャンボ!お元気ですか?
タンザニアは、遅れていた雨季が始まりました。一雨ごとに草木も息を吹き返し、茶色く涸れていた大地は草の緑で覆われ、牛や山羊も大喜びです。
少しでも触れるとさっと葉を閉じて、しばらくするとゆっくり開いてくるオジギ草も、淡紅色の小さな丸い花を咲かせ、人が通る度にお辞儀をしています。日本では「おじぎ草」」ですが、英語では「眠り草」、タンザニアの人は、「死んだふり草」と呼んでいます。同じ草の同じ特徴を名づけるにしても、お辞儀、眠り、死んだふりと、それぞれ違うものですね。
さて、タンザニア便り17で、ザンジバルの女性達が、コーヒーやジャスミンやバラの花のアロマ(香り)を使って、日常生活を演出しているという話をしましたが、日常だけでなく、結婚式などの特別の場でも、アロマ(香り)を使った演出は欠かせません。
結婚式では、必ずといっていいほど手作りの御香を焚き込め、参列者にバラ水をふりかけ、心を一つにして、結婚した2人の門出を祈ります。バラ水は、バラの花びらから作られる香料で、香水のように濃い香りではなく、甘いけれどもさっぱりした自然のバラの香りそのままで、たっぷり手にとって化粧水感覚で体につけると、なんだかバラ園にいるような気持ちになってきます。
参列者の女性達だけに、ジャスミンの花を草の茎に通して作った腕輪や、匂い玉を配ることもあります。そういう結婚式での花嫁は、大抵大人の拳ほどもある大きなジャスミンの匂い玉を首に下げています。それを見ると、花嫁の幸せを願いながら、朝早くからたくさんのジャスミンを摘み、せっせと草の茎に通して準備したであろう家族の姿が浮かんできます。そして、皆でお揃いの花の腕輪をして、祈りを捧げる時、そ
のイメージと、自分の腕から立ち上るジャスミンのいい香りとが溶け合って、よりいっそう敬虔な気持ちになるのです。
そして、結婚の儀式が終わると、コーヒーと甘菓子が出されます。甘菓子の種類は、ハルワ、カシャタ、テンデ、ケーキ、いろいろありますが、それに合わせるのは必ずコーヒー。結婚式で紅茶にお目にかかったことは一度もありません。家人達が、大きな盆に入れた甘菓子を持って参列者の間を回り、コーヒーを入れたポットを持った人が、小さなコーヒー茶碗を重ね持ち、順々にコーヒーをついでいきます。わざわざコーヒー屋に沸かしてもらったコーヒーや、豆から炒って自分で入れたコーヒーを振る舞う人もいますが、味と香りがよくて、簡単と3拍子揃ったアフリカフェが、ここでも活躍中です。
コーヒーが登場すると、儀式の中で、人々の体や服に移った甘い御香や花のアロマとはまったく別の、甘ったるさのない、それでいてゆったりと人々を包んでくれる独特のコーヒー・アロマが広がって、参列者をより豊かな気持ちにさせてくれます。
という具合に、タンザニアの人々は、アロマを上手に生活の中に取り入れ、自分も他人も常にリラックスして、気持ちよく生きられるような工夫や演出をしています。
また、香りの成分は、大脳に伝達される情報と並行して、呼吸によって肺にまで到達して、肺静脈などからも吸収され、血中に入ります。それは、感情に関係なく、成分作用を体に与えます。
今の日本は、化学成分の混じった芳香剤が多く出回っていますが、日本でも、化学薬品などなかった昔は、自然の物から作られたお香や匂い袋、花や木の香り等、自然の恵みの中で素敵な香りを見つけ、生活に取り入れ、日常を豊かに演出していました。そして、自然から見つけ出されたアロマ達は、人々を優しく包み込み、精神的にも肉体的にも豊かなやすらぎを与えてくれたのです。しかし、化学成分から合成された香り成分は、精神的な安らぎ効果はあっても、体にもいいかということとは、別問題です。
タンザニアの人々が、日本人に比べて、全体的に大らかで、大人も子供もストレスがなさそうに見えるのは、こういった自然のアロマ(香り)を生活の中に取り入れ、常に自然のアロマに囲まれていることも、大きな要因なのではないかと、私はひそかに思っているのです。
そんなタンザニアで生まれ、日本に渡ったアフリカフェ。100%アフリカの大自然から作られたアフリカフェから香り立つアロマは、あなたの疲れた心と体を、ゆったり包み、優しく癒してくれることでしょう。
ザンジバルのMUNAWARより
NO.1「ジャンボ!」(2000.4.15)
NO.2「タンザニアのゴールデンウィークは大雨期の真っ最中」(2000.5.10)
NO.3「ジャンボ、ベイビー! (こんにちは、赤ちゃん)」(2000.5.18)
NO.4「カンガ(布)は語る」(2000.5.25)
NO.5 「日本はぼた餅、タンザニアはタコとサメ!」(2000.6.12)
NO.6「リズム感のルーツは子守唄にあり」(2000.6.28)
NO.7「日本は七夕、タンザニアはサバサバ!」(2000.7.11)
NO.8「アフリカフェの故郷ブコバ」(2000.7.16)
NO.9「アフリカフェの生みの親、TANICA社」(2000.7.16)
NO.10「コーヒーに最適な土地、ブコバ」(2000.7.18)
NO.11「ブコバでは、無農薬が当たり前」(2000.7.18)
NO.12「恐怖のこうもり男」(2000.7.18)
NO.13「小規模だからこそできる有機農業」(2000.9.11)
NO.14「オリンピックって何?」(2000.9.27)
NO.15 タンザニア式炭焼きケーキ(2000.10.8)
NO.16 自然と人間のハーモニー(2000.10.19)
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