タンザニア便り

No.80 大雨季のタンザニアから、愛・地球博(愛知万博)に思いをはせて

No.81 “キリマンジャロの詩” コンサート&ファッションショー



No.80「大雨季のタンザニアから、愛・地球博(愛知万博)に思いをはせて」


ジャンボ!
アフリカフェフレンドの皆さん、お元気ですか?
日本では、桜前線もあっという間に北上し、一部の地域を残して、ほぼ桜も見終わり、ほっと一息ついておられるころかと思いますが、いかがでしょうか。

大阪万博と愛知万博

ところで、日本では、3月25日から開催されている愛・地球博(愛知万博)の話題でにぎわっているようですね。
1970年の大阪万博で、日本全体がもりあがったのは、私がまだ幼いころでしたが、私も、そのときは、名古屋から大阪までバスに乗って、家族そろって大阪万博を見に行きました。

とはいっても、人気パビリオンは、どこもかしこも長い行列。
結局、私たち家族は、人気のなさそうな国(国名は、1つも覚えていません)のパビリオン数箇所だけ入り、万博会場が見渡せる大観覧車の中でサンドイッチを食べ、妹が「太陽の塔」を買ってもらって帰ったことぐらいしか覚えていませんが、やっぱり、世界の国が一堂に会する万国博覧会に連れて行ってもらえるとわかったときのわくわくした気持ち。そして本当に万博に行った!ということは、今も私の心に大きく残っています。

愛知万博は、どんな様子なのかなと思っていたら、先日、名古屋のアフリカフェフレンド、金田久美子さんから、愛知万博についてのお便りが届きました。

「愛知万博に行ってきました!
数ある参加国の中で、とにかく第一回目の万博は「タンザニア」と思って行ったのですが、ありましたよ、アフリカ共同館の中に、タンザニアの展示が。
その中にちゃんとアフリカフェも飾ってありました。
残念ながら、販売ではありませんでしたが、感激です」

というメッセージと一緒に、大きなキリンがWelcomeしているタンザニアブースの全景と、アフリカフェの写真が!

わ〜、万博の展示物の中にも、ちゃんとタンザニア代表製品として、アフリカフェが飾られていたんですね。私も、感激です!
写真の右隅に、紅茶「アフリカンプライド」(紺色のパッケージ)がこっそり(?)写っているのを見つけて、また感激!

タンザニアブースがある「アフリカ共同館」の中には、28カ国の展示があって、それぞれアフリカ各国の人たちが、接客しているそうです。

「ほとんどの人が、片言の日本語で対応していましたが、機織りしている「マリ」国のおじさんは、全く日本語も英語もダメそうでしたが、一生懸命に何かを伝えていました。でも、その姿がたくましく見えて、アフリカがとても近く感じました。
これも、アフリカフェのおかげですね」
とのこと。

私自身、幼い日に行った大阪万博のときは、アフリカのパビリオンに入ってみようなんて、思わなかったですが、もし今の私が、愛知万博に行ったら、金田さんと同じく、まずは、タンザニアをはじめ、アフリカ各国のパビリオンを目指すと思います。
皆さんが、最初に目指すパビリオンは、どこでしょうか?

ところで、 マリをはじめ、西アフリカの多くは、フランス語圏ですから、英語が話せない人も多いでしょうね。
金田さんにとっての「マリ」国は、この一生懸命なおじさんの姿と重なり合って、思い出されることになるのでしょう。
世界の国の中で、身近に思える国、誰かの顔が浮かんでくる国が、1つ1つ増えていったら、素敵ですね。

愛・地球博(愛知万博)のメインテーマは、「自然の叡智」だそうですが、大阪万博の「人類の進歩と調和」というテーマも、子供心に、かなりのインパクトがありました。

ひたすら急速に、人類の「進歩」を目指していた高度経済成長期のど真ん中に開かれた大阪万博と、21世紀に入り、地球規模で自然と人間との共生を本気で目指さねばならない時期に開催された愛・地球博(愛知万博)のテーマ、どちらも時代を大きく反映していますね。

アフリカフェの故郷タンザニアには、日本が、遠い過去に置き忘れたような、人間と自然との共同生活が今も残っています。アフリカフェのコーヒー栽培方法1つをとっても、自然循環体系を壊さない地球に優しいアグロフォレストリー栽培法ですから、タンザニアブースに、アフリカフェが展示されていたのは、愛・地球博(愛知万博)のテーマにもぴったりだと思いました。


大雨季のタンザニア

さて、こちらタンザニアは、ただいま文字通り、「大雨季」の真っ最中です。
私の住むザンジバルでは、先週末、丸2日間、盛大な雷を伴う豪雨が終日降り続き、各地で床上浸水、ザンジバル唯一の遊園地、カリアコーにあるメリーゴーランドの木馬も、あわれ、首だけ残して水没。

我が家も、通気をよくするためにあいている風穴から、かなりの雨が吹き込み、台所やリビングは、ほとんどアウトドア状態。もちろん、停電もあり、土曜日は午前中に停電になったきり復旧せず、一晩ランプの明かりですごしました。

やっと晴れた月曜には、
ぬれた家具をお日様に干す、
風で吹き飛んだトタンを拾い集め、屋根の上に置きなおす(釘でとめずに、石をおくだけで、トタンをとめている家も多いので、大風が吹くたびに、トタンが吹き飛ばされてしまいます)、
陸の孤島と化した中央郵便局前の道路通行止め(というより、道路が川状態で、誰も通ることができないのです)、
もちろん郵便局は臨時休業、
あちこちのサッカー場や広場は、巨大な池と化し、子供たちが釣り糸をたれる・・・といった、この季節ならではの光景が広がっていました。

とはいうものの、雨がやんで3日めの今でも、一部の地域では写真のように、まだ水が引かず、水没状態の家がたくさんあるので、早く水が引いてほしいと願うばかりです。

雨季のたびに、こういった被害が起こる背景には、天災という一言では片付けられない原因も多々あります。

低い土地でも、土台を高くするなどの工夫なしに、家を建ててしまうこと。
少量の雨が降るだけでも、いや、雨が降らなくとも、下水があふれ出している箇所があちこちにあるというように、全体的に下水設備が整っていないことも、大きな原因だと思います。

しかし、国としても、もともと区画整備などお構いなしに、人々が家を建てているので、いまさら大規模な下水工事などできないといった状態。
ですから、ザンジバルでは、根本的な解決がないまま、毎年、大なり小なり、雨季には、このような水害が起きています。

ザンジバル柔道連盟の中にも、床上浸水組が数人いて、
「一番ひどかったときは、胸まであった水が、今はひざまで下がったよ」

「夜中にトタンが吹っ飛んで、家族全員ずぶぬれで、隣の家に避難したら、隣の家もトタンが吹っ飛んでいたからまいったよ」
などなど、一喜一憂の会話が聞かれます。

まあ、事情はいろいろあるにせよ、ザンジバルの人にとっては、こういった浸水騒ぎは、毎年恒例といった感があるせいか、こういう会話をしていても、あまり深刻に聞こえないのですが、日本で起きたら、大ニュースになることと思います。
こういうことも、金田さんが、マリのおじさんから感じたという、アフリカの人の「たくましさ」に通じるかもしれません。

ということで、今回は、愛知県のアフリカフェフレンドから届いたお便りを読んでいたら、大阪万博の思い出とともに、まだ見ぬ地球博(愛知万博)に、しばし心が飛んだので、大雨季のタンザニアにいながら、万博のことを書いてみました。

それにしても、大阪万博のときは、将来、我が地元である愛知県で、万博が開かれる日が来るとは、夢にも思いませんでした。
やっぱり、未来は未知!だからこそ、明日という日が楽しみですね。

それでは、今日は、このへんで。
次回の便りまで、お元気で。
GOOD LUCK!!               ムナワルこと
                                島岡 由美子拝

P.S
このたび、お便りと写真の公開を、快くOKしてくださった金田久美子さん、ありがとうございました!






No.81 “キリマンジャロの詩”〜 コンサート&ファッションショー〜
ジャンボ!アフリカフェフレンドの皆さん、お元気ですか?
今日は、4月16日に行われたタンザニアミュージックコンサート&アフリカ布のファッションショーの様子をお伝えしましょう。

今年は阪神淡路大震災10年目にあたり、タンザニアから、ささやかながら神戸の皆様に幸せ・楽しさをお届けしようという主旨の元、4月16日、神戸市東灘区民センター「うはらホール」にて、在日タンザニア連合共和国大使館と神戸市の主催で、『タンザニアミュージックコンサート“キリマンジャロの詩”&タンザニアファッションショー』が開催され、アフリカフェ輸入元(株)トロワは、ジャカランダクラブの皆さんと一緒に、協賛という形で参加しました。

当日は、約2時間の中に“アフリカン・エクスプレス”によるコンサート、アフリカ布を使ったファッションショー、タンザニアのビデオ上映もあり、もりだくさんな内容だったようです。


コンサート風景

コンサートの演奏者は“アフリカン・エクスプレス”
アフリカ人と日本人の融合バンドである“アフリカン・エクスプレス”は、日本アフリカ友好、日本人の意識を世界に広げるというコンセプトで、1996年に結成された国際交流音楽グループで、今まで900校以上の学校公演を実施し、大好評を得ている民族音楽の草分け的存在です。

イベント当日、アフリカンエキスプレスの演奏は、前半後半あわせて約50分間。
数ある持ち歌の中でも、「ジャンボ!ジャンボ!ブワナ〜♪」の歌では、会場のみなさんも総立ちで、リズムに合わせてダンスダンス!の場面もあり、在日タンザニア人はじめ、踊り好きのお客さんが舞台にあがり、メンバーと一緒に、歌って踊ってという場面もあり、最高に盛り上がったそうです。

タンザニアの代表ソング、「マライカ」も披露されたとか。
「マライカ」は、いろいろな歌手やグループによって歌い続けられていますが、それぞれ歌い手によって、テンポも雰囲気もがらりと変わります。

私は、アップテンポで歌うマライカよりも、しっとりしたスローテンポのマライカが好きですが、アフリカン・エキスプレスのマライカは、どんな雰囲気だったのでしょうね。



タンザニアドレス・コンテスト

タンザニアドレス・コンテストでは、マロニエファッションデザイン専門学校の学生さんが、タンザニアの布(キテンゲ、カンガ、バティック)を使って製作した、7点のドレスが登場。

ムタンゴ大使を筆頭とする5人の審査員による厳正な審査の結果、見事優勝に輝いたのは、鮮やかな緑の地に、堂々たるシマウマの姿がプリントされたキテンゲ(布)でデザインされたロングドレス。

優勝者には、タンザニア大使館より、タンザニア旅行がプレゼントされました。
コンテストの表彰式には、タンザニア女性が、プレゼンテーターとして、魚柄のキテンゲで作られた浴衣姿で登場し、会場から「かわいい!浴衣も素敵!」の声があがったそうです。

このキテンゲを浴衣にするという案は、トロワが3月に参加したフェアトレードフェス会場で、お客様から上がったもので、トロワがその案をいただいて、今回のイベントにあわせて、キテンゲで浴衣をしたてておいて、当日好評をいただいたという裏話があります。
やはり、お客様からいただくアイディアは、たいへん貴重ですね。フェアトレードフェスタで、キテンゲ浴衣案のヒントを下さったお客様、どうもありがとうございました!

優勝した学生さんは、
「まさか優勝するとは思っていなかったので、ビックリしました。タンザニアのデザイナーとも交流したいと思いますが、突然のことで、今はまだ想像もつきません」
とのこと。

ここタンザニアでは、キテンゲ(布)を買って、仕立て屋さんに自分の好きなデザインを言って、仕立ててもらうという方法が一般的ですから、タンザニアの女性たちは、袖を思い切り膨らませたり、ふりふりをつけたり、思い思いのデザインを楽しんでいます。

皆さんも、タンザニアに来られたら、まるで、キテンゲやカンガのファッションショーを見ているような錯覚にとらわれるのではないかと思います。

タンザニアの仕立て屋さんは、2、3日であっという間に好きなデザインに縫い上げてくれるので、タンザニア旅行の際は、好きなキテンゲを選んで、滞在中に仕立ててもらうのも、旅のよき思い出になるかと思います。
ただし、仮縫いなしで作るので、仕立ては早くても、サイズ間違いなどが、非常に多いこともお伝えしておきますね。


カンガ・ファッションショー

そして、カンガ・ファッションショー。
 カンガとは、東アフリカで日常的に使われている四角い大判の一枚綿布。タンザニアの女性達は、2枚を組み合わせて巻き付け、着こなすのが基本です。

当日のステージでは、まず、タンザニアの人たちが着付けをしてくれ、トラディショナルな巻き方を披露。
その後は、9種類の巻き方が紹介されたそうですが、そのうちの1パターンは、トロワ・ジャパンの住谷弘子
どんな斬新な巻き方をご披露したのかと思いきや、いつもイベントや試飲会で巻いている「エプロン姿」での出演だったと知って、ちょっと笑ってしまいました。

カンガのエプロン巻きは、どなたにでも気軽にできるのですが、普段のアフリカフェ試飲会やイベントでは、なかなかお一人ずつに、巻き方の伝授ができないので、ちょうどいい機会だったかもしれないですね。

イベント終了後に、
Tシャツとジーパンに、カンガエプロンを合わせて、夏に着たい」
とはりきってカンガを購入に来てくださった方。

また、もう実際に使っておられる方が、
カンガエプロンの胸のところがゆるくなっているのが気になるので、 胸のところをブローチでとめると、たるまないし、かわいいですよ」
と教えてくださったりと、お客様との話が弾んだそうですから、トロワ・ジャパン住谷が披露したカンガ・エプロン巻き、人気が出そうな気配を感じるのですが、どうでしょうか。

ところで、カンガの特徴は、皆さんご存知のとおり、1枚1枚にメッセージが書かれていること。
販売ブースでは、デザインより、言葉で選びたいとおっしゃる方もおられ、
新婚さんへのプレゼントとして、「愛は心の果実」
愛妻への贈り物として、初老の男性がお選びになったのは「I LOVE YOU」
今の自分にぴったりだからと笑いながら、「今の貧しい境遇を受け入れます」を選んでいかれた方もおられたとか。

カンガは、デザインでも言葉でも選ぶ楽しみが大きい、魅力的な布ですから、私も、いつもデザインで選ぶか、言葉で選ぶか迷います。こうやって迷いながら選ぶのも、カンガの楽しみのひとつですけどね。



アンケート結果

昨日、私の元にも、タンザニア大使館が集計したアンケート結果が送られてきましたが、当日の印象について
・音楽とファッションショーで、目も耳も楽しんだ。
・久しぶりにタンザニアを思い出してよかった。
・ ファッションショーの衣装が可愛かった。
・・・といった回答に混じって
「これからは、ポレポレを心に、ハクナマタタを合言葉にしたい」
という素敵なコメントを見つけました。
このポレポレ(ゆっくり)&ハクナマタタ(問題ない)精神が、タンザニアの懐の深さにもなっていると思います。

時々、このポレポレ(ゆっくり)&ハクナマタタ(問題ない)が裏目に出て、いろいろなことがスムーズに流れないこともありますが、ポレポレを心に、ハクナマタタを合言葉に、みんなで前進していきたいですね。

我々トロワは、この『タンザニアミュージックコンサート“キリマンジャロの詩”&タンザニアファッションショー』に、協賛という形でかかわり、アフリカ布を使った大きなイベントに、初めて参加しました。

当日のアフリカフェ&布雑貨販売だけではなく、イベントで使われたアフリカ布全般の準備から、当日の進行にいたるまで、裏方として全力であたりましたので、このイベントを無事終えることができ、ほっとしております。
当日ご来場くださった皆々様、本当にありがとうございました。
トロワ一同、心よりお礼申し上げます。


ということで、今回は、4月16日のイベントの様子をお伝えしました。
トロワは、普段の試飲会とともに、これからもこういったアフリカ関連イベントに、どんどん参加していく方針ですので、お近くでの試飲会&イベントの際は、お気軽に遊びに来てください。
それでは、今日はこのへんで。
次回の便りまで、お元気で。
GOOD LUCK!!
                2005年4月23日
                    ムナワルこと
                            島岡 由美子拝


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